木の匙。

春くらいからずっと、がぁっとやったり、暫く休んだりしながら続けていた木彫りと漆。
作ったものを見てみたいと友人に言われて撮った写真があった。欲しいなぁ、と言ってくれて嬉しかったものの、「実際に売るとなると2000円からとかになるよ」と言ったら、その後返事は無い。
木の匙と豆皿たち。

一番上:ビーンズサラダ用スプーン、中段左:ハーゲンダッツ用スプーン、中段右:何となく匙、下段左:何となく豆皿、下段左:フルーツグラノーラ用スプーン。
何となく作った物はまだ使われずに新品での保管。やたらと細かい用途のスプーンは、その目的でばっちり使用中。
これの為のこういうものが欲しい!と思って作ったものなので、仕上がって使う時はまたとてつもなく嬉しいものだ。
刺身皿、2枚。

これは、広い方に醤油、小さい方にわさびを盛って使う用の器。

写真では鯛のお刺身を食しているが、サーモンやぶりの場合、偶にわさびを刺身にちょんと載せて食べたいと思う。わさびを醤油に溶いてつけるのも良いけれど、醤油とわさびが分かれている器が欲しいと作ったものがこれ。
型紙を作って同じように作ったはずがだいぶ違う。
次は、立ってるスプーン(大・小)。

これは、瓶入りの岩のりをとってごはんに乗せるとき用のスプーン(だんだんマニアックになってきた)。
ずっと普通のスプーンを蓋の上に載せて食卓に出していたが、使ったら瓶に突っ込みっぱなしにするか、食卓に寝かせるかしかなく、どうしても納得いかないので、スプーンの先が食卓に付かないよう、立っていただくことにした。
立つスプーン自体は商品として存在するのだが、3本足のものは検索できなかった。一番安定する形で可愛らしい形状を追い求めてみた。

どこから見ても3本足。瓶の深さに合わせて大小作ってみたが、今は小サイズを愛用中。
実際に使っているものは試行錯誤でサイズやカーブを調整したので、かなり使いやすい。ただ、他の人が使いやすいかと言われると、分からない。
今年、何とか形になったのはこのくらい。売るほど作りたいと思ったものの、売るほど作らなかった。
やっぱり仕事にはほど遠い。
鋸で切り出し、彫刻刀で彫って、漆を染みこませて乾かして、磨いて塗って乾かしてを5回繰り返してある。完成に何ヶ月もかかる。安くは売れない。100円ちょいで買えるものはそれはそれで好きなのだが、作るなら、100円では作れないものを作りたい。
好きな物を作るのは、いい。それに値段をつけるのは恐ろしいことだ。その値段にふさわしいものを作らなければならないからだ。技術も、個性も、耐久性も必要だと思う。
ものを作る仕事をしている人を尊敬する。まだまだ覚悟も自信も足りないな。