網ほおづきと枯れた花々。

この間のほおづき市で買った鉢植えから実を取って、今年も網ほおづきを作った。水に数日浸けて腐らし、葉脈というのか筋の部分だけを残して洗い流し、乾かすだけだ。
作業は簡単だが、腐らせたほおづきの臭いはちょっと凄い。それでも作りたくなるこの繊細な美しさ。

バックが黒だとこんな感じ。

バックが窓だとこんな感じ。ガラスの檻のようだ。

引っ越して1年程の今のお家は、キッチンが壁で囲まれている。以前の家はキッチンはフルオープンで料理中に子供達の様子やら、テレビやら、窓の外やら眺められたのが、全く見えなくなった。そのせいなのか、キッチンでの孤独感は否応なく迫ってくる。Bluetoothのスピーカーでかなり陽気な音楽はかけられるようにはなったが、視界の寂しさはどうにもならない。お皿を拭いている時、煮込んでいる時、お湯を沸かしている時、子供達の遊ぶ様子はテレビ以上のエンターテイメントだったのだと、いまになって思って見たりする。
そこで、最近は花をちょこっと生けてみたり、プランターのグリーンを一枝差してみたり。洗い物の視界の一番目に入る場所に置いて、花弁のカーブや茎の筋を脳内でデッサンするのは楽しい。まぁ、花はもともと好きだし、どちらかというと雑草を摘んでくる方が好きなのだけれど、東京だと雑草も取ってよいものかどうかと思う時もあるので、時々花を買うようになった。
だが、花はいづれ枯れる。いづれというには早すぎる。あっという間に駄目になってしまうので、あえてドライにしても形が残りそうなものを選ぶようになった。
キッチンの唯一覆われていない一辺は、ドライフラワー製作所にしてみた。


予想外の花が綺麗にドライになったり、これは行けそうだと思ったものが形が残らなかったり、そういう意味でも面白い。
デルフィニウムの青がずっと褪せずに残っているのには驚いた。清澄白河の「LUFF」というお店の品揃えがお気に入り。見たことのない花や葉や、ドライにも向いているものがいつ行ってもある。
このお店にとても珍しい、生花の液体標本があって作ってみたいと思ったのだが、試しにデルフィニウムグリセリンに漬けてみたら、綺麗な青が見事に抜けてしまった。植物の液体標本というものは簡単にできるものではないらしい。
ドライフラワーは、上手くできたら、一度リースに仕立ててみたいものだ。