威風堂々、やまぐち号。

山口:晴れ
湯田温泉新山口SLやまぐち号)→津和野(スーパーおき)→新山口(N700)→新神戸→三宮→岡本
宿を出て歩いて駅へ向かう途中、良いところでタクシーを見つけたので、新山口まで走って貰う。お陰で時間に余裕が出来、駅到着前のやまぐち号を見に行く。カメラには納められなかったけれど、SLの後ろを走り去る500系新幹線を目撃。SLしか無かった時には有り得ない光景だと思うと、なんだか、凄い時代だなぁ。
10:47発のSLやまぐち、貴婦人と言われるC57に乗車する。駅はちび鉄を連れた家族連れで溢れ、もちろん自分達もその中の一員なのだけれど、やや辟易。


2号車、欧風車両の席に着く。一番豪華そうだったので、この車両を希望したのだ。ロイヤルブルーのシートに、ランプ、ステンドガラス。


明治風車両もちょこっと見学。

一番後ろの展望車まで行く。この煙たさがSLだ。

津和野まで約2時間。乗車前と乗車後記念撮影の人でごったがえしているが、少し待つと津和野観光へ繰り出した人々が減るので、SLを間近で見られる。



動輪を繋ぐ骨のようなパーツが格好良い。

帰りの列車まで津和野観光。倒れそうな暑さで、山の緑が異様に美しい発色だった。



津和野→新山口間、来た道を戻る。つまりSLに乗る為だけに来ているということで、ふっと、普通の感覚に戻ってみると、実に無意味そうに思える。
スーパーおきでSLで2時間かかった道のりを、1時間で到着。早い。そして、揺れない。同じ線路なのに、こんなに乗り心地が違うのか。
N700系に乗り込み、神戸へ。

この旅は、どこかに行くために乗るのではなく、乗る為に行くという、今までとは根本から違う旅だった。そして、満足感と妙な寂寥感が残った。
まずは、大満足だったのは、憧れのSLやまぐちに乗れたこと。実際の線路を走っている蒸気機関車の迫力は展示物や公園内を往復するものとは、別物。積んである石炭の量、車両の重さ、汽笛の耳鳴り、すすを含んだ空気までがずっしりと感じた。
石炭を窯に入れる労働と、静かに止まっている時の動輪の優雅さが印象的だった。
もう一つ残った寂寥感というのは、何だろう。かしましい観光客になりたくないと思っていたのに、なってしまったと切なさとでもいうのか。やはり乗客の多くが子供連れで、騒々しさもさることながら、列車にのり、お弁当を食べ、順番に写真を撮って、決まった時間に帰るという、どこかツアーのような感じがそう思わせるのだろうか。今まで「飯田線に乗りに行く」という為だけの企画に何度も行っているけれど、こんな風に思ったことは一度も無かった。それは、人もこんなに多くなく、子供連れも自分達だけで、多少のトラブルをフォローしてくれる人達が居て、ルートは随時変更可、毎年同じことといいながらも型にはまらない旅を知ってしまったからだろう。
SLに乗るには、自由度を切り捨てるという覚悟が必要だったらしいが、私は少し足りなかった。
そんな訳で、ゆったりとした旅は、2週間後にやって来ます。